「オーストラリアのコーヒーは世界一美味しい」と言うひとが多い

オーストラリア人じゃなくても、オーストラリアのコーヒーとバリスタは世界一と言うひとが多い。同じ英語圏だからコーヒー事情はアメリカと同じだろうと思ったら、大間違い。

オーストラリアは「コーヒーは文化である」として胸を張って言っちゃうほどのコーヒー大国なのだ。

 

スターバックスの撤退

 

IBISworldの統計によると、オーストラリアのカフェの実に96%が独立した個人事業としての店だ。

つまり、他の国々と違って、あの有名なスターバックスさえ流行らなかった。
スターバックスは2000年にオーストラリアに進出し、2008年までにはその支店を84店(他国に比べたら極小サイズ)にまで広げた。ただし、その同じ年に61店舗を閉鎖、700人のスタッフが職を失った。

 

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町の小さなカフェのコーヒーのほうが、スターバックスのトレンディーなコーヒーよりはるかにオーストラリア人の好みに合っていたからだ。
もちろん、オーストラリアには少ないながらコーヒーのチェーン店もあるけれど、それは伝統的なスタイルのコーヒーを供する店で、スターバックス風の創作コーヒーの店ではない。

 

バリスタはただのカフェ店員ではない

 

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バリスタという言葉は近年では日本でもかなり流行ってきたけれど、エスプレッソコーヒーを作るひとが皆バリスタかというと、オーストラリアではちょっと違う。

バリスタというのは単なる「カフェの店員」ではない。バリスタになるための学校もあり、そこで勉強して初めてバリスタの資格が取得できるのだ。コーヒーの種類に熟知し、どのように作るか、またどのように自分の味を出すか、ラテアートをどのように作るか、などを研究する専門職と言える。

オーストラリアには世界的に有名なバリスタたちもいるし、自分の好みのバリスタがいる店にしか行かないというひとも多く、そういうひとたちはレギュラー(Regular)と呼ばれている。

 

オーストラリアのお持ち帰りは「テイクアウェイ」

 

街のカフェでコーヒーを注文すると、必ずと言っていいほど「Take away? Or here?」と聞かれる。「お持ち帰り?それともここで飲む?」という意味だ。

日本でも使われるテイクアウト(Take Out)はアメリカ英語で、こちらでは使わない。持ち帰るときはテイクアウェイ(Take away)と言おう。

 

 

朝など、紙カップコーヒー用に「段ボール製の穴あき持ち帰りボックス」を運ぶひとたちが多いのも、オーストラリアの見慣れた朝の光景。スタッフのひとりがオフィスのひとたち皆のために買ったコーヒーなのだよね。

 

テイクアウェイのコーヒーにはあらかじめ砂糖を入れてくれることがある。混ぜずにそのまま飲めるように、だ。ひとの分もまとめて買うときには、「Flat Whiteには砂糖ふたつ入れてね」と注文する。そうすると、フタにはきちんと「Flat White 2sugar」と書かれている。
オーストラリアではドライブスルー(車に乗ったまま注文し、乗ったまま受け取る方式)のカフェも多いので、こういうサービスはとても便利。

 

オーストラリアのコーヒーの種類

 

まずこれだけは知っておいてほしいこと。
日本の喫茶店にはどこにでもあるあの植物性コーヒークリームというものは、オーストラリアには存在しない。コーヒーに加えるのは、今のところ牛乳(低脂肪、スキムミルクもあり)か豆乳か米乳だけだ。

 

エスプレッソまたはショートブラック(Espresso/short black)

 

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エスプレッソマシーンで入れる30ccがシングルショット、60ccがダブルショット。
普通は砂糖をがんがん入れて飲む。だって濃いんだもの…。本場イタリアなどでは、スプーンが真ん中に立つほど砂糖を入れるひともいるし。イタリア料理の「アガリ」としてこれをイッパツ飲むひとも多い。

ちなみにダブルショットを飲むと、わたしなんぞ心臓がドキドキし始めるので、危ない危ない。

 

フラットホワイト(Flat white)

 

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オーストラリアでは、単に「コーヒー」と注文したらこれが出てくるほど代表的なコーヒー。シングルショットのエスプレッソコーヒーに、スティームで温めたミルクを上から注ぐのがコレ。
このコーヒーに低脂肪牛乳を注いでほしかったら、名前が違う。こちらは「スキニー(skinny)にしてね」となるので。もし普通の牛乳ではなく豆乳にしてほしかったら「ソイミルクにしてね」となる。

 

ラテ(Latte)

 

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フラットホワイトと同じにエスプレッソを1ショット、そしてミルクは泡がフラットホワイトより沢山入る。違いはそれだけなので見た目はあまり変わらない。あまり泡がほしくなかったらフラットホワイトのほうがいいかもしれないけど。こちらも「ソイラテ(豆乳入り」「スキニーラテ(低脂肪牛乳入り)」などがあ。

 

カプチーノ(Cappuccino)

 

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わたしはどちらかというと、昼過ぎにカフェに入ったらコレかロングマキアート。

エスプレッソが1ショットで、そこにスチームで温めたミルクが入り、その上に泡立てたミルクがゆっくり注がれる。最後にチョコレートのパウダーかココアパウダーがパラパラとかけられて出来上がり。

 

モカ(Mocha)

 

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ラテと同じ配分のコーヒーとミルクだが、ミルクを注ぐ前にココアパウダーをたっぷり加えるのがモカ。つまり、元々少し甘いコーヒーだ。

 

ロングブラック(Long Black)

 

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これはエスプレッソのダブルショット(60cc、シングルショットのこともあり)をお湯の上から注ぐ。エスプレッソコーヒーの泡が消えないように、という理由。上の写真のロングブラックでわかりますが、泡が消えていない。

 

エスプレッソほど濃くないので砂糖抜きでも飲める。
わたしはこれが好みだけど、ホットのときは「ほんの少しミルクをちょうだい」と注文することもある。アイスのときには、そのまま飲むけどね。

ラテやフラットホワイトだと、少しミルクが多すぎるなあと感じるときに、このロングブラックを注文することが多い。

 

アメリカーノ (Americano)

 

 

お湯の上にエスプレッソコーヒーを注ぐロングブラックと違い、アメリカーノはエスプレッソコーヒーの上からお湯を注ぐ。こちらは、反対にエスプレッソの泡を消すためだそう。

 

ただし、アメリカーノとロングブラックの両方がメニューにあるカフェは少ないので、もしかしたらそれほど厳密に分かれていないのかもしれないが。

 

アメリカーノという名前から、日本でもよく知られたあの薄い「アメリカンコーヒー」を想像してしまうかもしれないけど、全く違う。エスプレッソコーヒーを使うので、アメリカンコーヒーよりはるかに濃くて深みのある味わいだ。

 

マキアート(Macchiato)

 

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マキアートは伝統的にグラスで供される。
シングルのマキアートはエスプレッソ1ショットにミルクは小さじ1杯ぐらい。ロングマキアートはエスプレッソがダブルショットになり、その上から小さじ2杯ぐらいのミルクが注がれる。このぐらいの濃さのコーヒーだと、わたしは砂糖が要る。。

 

ところが。
これが西オーストラリアのパースになると事情が違う。
シングルだろうがロングだろうが、何も言わなければグラスの縁まで温かいミルクが注がれるからだ。これがパースの普通のマキアートなので。こういうマキアートはトップアップ(top up)とも言うので、どちらのマキアートが出てくるかわからないようなときには「ロングマキアートをトップアップで」などと確かめて注文するほうが確実。

 

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イタリア料理のディナーのあとは、わたしのこのシングルショットの伝統的なマキアートに小さじ山盛り1杯の砂糖を入れて飲むのが好き。つまり、今度は「マキアートのミルクはダッシュ(dash、ほんの少しという意味)で」と注文する。

 

オーストラリアのコーヒーは怖くない

 

コーヒーの種類は国によって違う。わたしも初めてオーストラリアでコーヒーを注文したときには戸惑ったもの。フラットホワイトもロングマキアートのトップアップも全く知らなかったからだ。

ただし、一度飲んだら忘れられないほど美味しいコーヒーに当たるのもオーストラリア。ぜひ一度「世界一美味しいコーヒー」を試してみてほしい。切に。