久しぶりにオペラ観劇。今回はパースでは15年ぶりという「カルメン」だ。
なぜ15年もこんなに有名なオペラが上演されなかったかと言うと、主人公のカルメンが働いているのが「煙草工場」で「煙草を吸う場面が多いから」という何とも嫌煙が進んでいるオーストラリアならではの理由。
何ヶ月も前にチケット購入していたから観られたが、4日間全て満員御礼というのは非常に人気の高いオペラで親しみやすい曲がたくさんあったためと思われる。
さてそんな「カルメン」を上演するのは豪華で古めかしい劇場、His Majesty’s Theatre(王立劇場)だが、その隣にHeno & Reyというスペイン料理店が新しくできた。そこで、早めのディナーのためにこちらも予約して出かけていった。
外にも座る席があり、いかにも心地よさそうなソファーなのだがいかんせん寒すぎる。夜ともなると13−4度になるパースの冬だ。街のパブのように外にヒーターもついていない。わたしは窓際だったので、外の席の女性に大きな毛布が渡されるのを見たが、それでも寒かったとみえて中のテーブルが空いたときに食事の途中だったのにすぐに移ってきた。ヒーターはつけるべきだなあ…。
さて、料理だがタパスが多いのでいくつかそこからおつまみを注文したが、その注文がなかなか来ない。ワインに口をつけてしばらくしても頼んだチェイサーの水さえテーブルに来ない。
タパスを作っているオープンキッチンの大きなテーブルに所狭しとタパスの皿が並び始めた。それこそもうそれ以上作れないほどに。
つまり、サービススタッフが出来上がった皿を取りに来ないからだった。
10分以上たっても来ない。そのうちに料理人たちがザワザワし始めた。そして、何度もチーンと鳴る「料理が出来上がっているよ!」のサイン。そして、ついに料理人のひとりがしびれを切らしてキッチンから出てくると、スタッフを呼びに行って不満をぶちまけたようだ。
なるほど、遠くでおしゃべりをしているスタッフが2人。ようやくその2人が飛んできて料理を運び始めた。
そして、わたしたちが恐れていたように全部いっぺんに注文した料理が並んだ。
並んだというよりもうぎっちりと置かれて、ワイングラスをおく隙間さえない。「全部いっぺんに持って来ないよう、あらかじめお願いしたはずですが」と言うと「すみません」と言うばかり。
取りあえず、ふたつほど料理を銘々皿に分配し、空いた皿を下げてもらうよう合図。今度はスタッフのひとりが飛んでくる。(実はわたしはこういう場合ものすごーく顔に出やすいので、スタッフたちにはわたしがものすごーく怒っているということがわかってしまったらしい)
しかしねえ、こういうときはフロアマネージャーが小さなおつまみ一品ぐらいタダで持ってきて「すみません」とやってくれたら、客も気分よく食事が楽しめると思うのだが、まだそんな気の利いたことができる店にはなっていないらしい。
しかし、やっと料理が楽しめるね(というよりワインをテーブルに置けるね)と食べ始めたらこれがビックリするほど美味しい。
キングフィッシュのセヴィッチェ(刺し身のレモンマリネ、19ドル)。魚が本当に新鮮で、厚みのある肉にレモンのフレッシュな味わいが何とも言えない。
こちらは、タコの足とカリフラワーのグリル(18ドル)。味はよいのだが、残念ながら冷えている。そりゃ、キッチンテーブルに置きっぱなしだったのだから当然だ。プリプリのタコの足なのに。
スペイン料理店に来たら、絶対これは注文しなきゃねというスペインの生ハム、ハモン・セラノ(16ドル)。店で直接切り落としたばかりのハモンはやはり美味しい。
これはレモンとアイオリソースを添えたイカの足の揚げ物(17ドル)。おつまみには最高だ。
この他にもまだサラダとホワイトベイト(小魚)のフライ(13ドル)があったのだが、テーブルが大入り満員で写真が撮れる状態ではなかった。残念。
料理は素晴らしいし、値段もパースシティーにしては安めかもしれない。雰囲気もモダンで素敵だ。
それでもスタッフの対応で興ざめしたのは間違いない。
料理人たちがかわいそうで、トイレから帰ってくる途中で「料理が本当に美味しかったです、ありがとう」と一言残しておいた。3人ともニッコリと微笑んでくれたのが印象に残っている。
いずれにしろ彼らに罪はないし、そのほかの料理を試すためにもう一度訪れたいとは思っている。